注意力三万世界

脳筋チンパンカラクリのぼやき。句読点に苦手意識があります。

わたしの切札。

わたしの理想や欲しているものを実現したり得たりするにはわたしではダメなんではという思いが今までよりも強くなったと思う。今までも自らの性格を嘆き、度々考え方を改めてはアップデートを繰り返してきた。だが、人の思考なんてそう簡単には変わらないしそう都合良くもできていない。このままではいけないと模索した。どこまでいってもどうなってもわたしはわたしのままだからだ。だからわたしはわたしを上書きするのでも、わたしを伸ばしていくわけでもなくわたしともう一人、「彼」を作ろうと思った。

 

わたしはサブカルチャーに、マイノリティに憧れるただの普通の人間でしかない。サブカルチャーでもマイノリティでも特別でもなんでもないのだ。そんな普通のわたしができないことをやるキャラクターがあったとしたらそれは普通じゃない。だって普通のキャラクターができないことをやってくれるのだから。

 

 

無から有は生まれないし無から優は生まれない。「彼」のモチーフが必要だ。バックボーンとなり根幹となり生き血を巡らせるためのモチーフにはなにがふさわしいのか。わたしにできないことをやるキャラクターにはまずはわたしとは反対の要素があることが不可欠だ。だからこそ自分本意であること、周りを気にしないこと、打算的であること、論理的であること、狡猾であること、そしてなにより志があることが必要である。また、そこに付け加えるならわたしの絶対的理解者で支援者で肯定者であることだ。最後に付け加えた点はわたしにとって有益でなければいけないという主旨からだがそれ以外の点を大まかにクリアするキャラクターに「ダークナイト」のジョーカーを選んだ。ジョーカーを選んだ理由としてはわたしが挙げた点をクリアしていてかつ、非常に魅力的であったからだ。狂気の定義を他人には理解しがたい個人の道理だとするならば唯一の狂気を持ち、歪で狡猾で快楽的で魅力的、ヒース・レジャー藤原啓治が演じるジョーカー以外にありえなかった。

 

まずは鏡に話しかけるところから始まった。彼の要素を含みながらジョーカーだったらどういう言葉選びをするか、どういうクセがあるのかを意識しながら話しかけていった。「おまえにできないことをオレがやってやる、オレと代われ。そうしたらもっと気持ちの良い景色が見える。」毎晩そう話しかけた。彼はわたしを乗っ取る侵略者ではなく、わたしを助ける理解者なのだ。

 

しばらくその生活を繰り返すとジョーカーのイメージから解離することで彼の輪郭が出来上がってきた。ジョーカーの要素が色濃いが全てがジョーカーではなく、わたしがジョーカーと彼の要素を意識して作り育てる中で滲み出てきた色こそが「彼」なのだ。

 

彼が出てきてくれてわたしは助かることが増えた。仕事でのストレスを消化し切れない時、不安に脳ミソを殴られている時、コンプレックスに震える時にいつも彼が代わってくれた。彼はわたしのできないことをやってのけるキャラクター、いつもわたしを助けてくれる。わたしは彼にこれからも要素を継ぎ足すことによってキャラクターのバックボーンに厚みを出して魅力を育て続けていきたい。彼はわたしの切り札なんだ。